正確な労働時間の管理はなぜ必要か。

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ルールを守り挑戦!

労務管理のDX化の話。
例えば打刻システムの導入について、「システムで正確に労働時間を管理するとなると、事業主にとって嫌がられるのではないか」と言われることがあります。

本来労働時間は1分単位で管理することとなっています。労基法に1分単位で管理しなければならないと明記されているわけではありませんが、労働基準法第24条第1項において、「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなくてはならない」と定められています(賃金全額払いの原則)。条文内にある「全額を支払う」が、たとえ労働時間が1分単位であっても、切り捨てることは認められないと解釈されるのです。

30分単位の切り捨てが普通に行われていた時代もありました。

なぜ労働時間を正確に把握する必要があるのでしょうか。

おそらく1番に思いつくことは「トラブルを防止するため」ではないでしょうか。

サービス残業代の請求や、仕事そのものをしている時間ではないが労働時間となる可能性のある時間に対する賃金の請求など、未払いの賃金を請求されるリスクです。

私が思うシステムでの正確な労働時間の管理が大切だという理由は、もちろん上記のリスク回避のためもありますが、それだけではありません。 労働時間の正確な管理は「人材定着」・「生産性の向上」に繋がると思うのです。 労働時間の正確な把握は、個々の貢献を評価する上で重要です。 生産性の高い従業員(残業が短く、仕事もスピーディーにこなす)を正当に評価することで、その従業員の会社に対する信頼度があがるでしょう。

逆に正当な評価がもらえない従業員やサービス残業をしている従業員の心には、会社に対する不信感や不満が生まれ、結果として生産性を低下させます。さらに時間と費用をかけて採用・教育した従業員が辞めていく結果を招く可能性も高くなります。

また、労働時間の分析を通じて、生産性の低い部分や改善の余地がある業務プロセスを見つけ出しやすくなります。これにより、効率を向上させるための具体的な対策が講じられます。

もちろん無駄な労働時間に対して賃金を払う必要はありません(出勤・退勤間際のおしゃべり等)。
例えば残業は許可制にし勝手な残業(黙認残業)を認めない等、従業員の打刻のルールや正確な打刻ができる環境をきちんと整えた上での正確な労働時間の管理・賃金の支払いは、人材定着・生産性の向上に寄与すると思うのです。

目先の利益だけでなく、長期的に企業の成長につながるご提案ができるよう日々精進しようと強く思います。