育児・介護休業法では、育児をする従業員が請求した時に利用できる育児支援の制度があります。
職場復帰後の育児支援制度ーその1
育児短時間勤務
3歳に満たない子どもを養育する従業員が会社に申し出たときは、会社はその従業員の所定労働時間を短縮することが義務づけらています。原則として所定時間6時間を選択できるようにしますが、その上で、それ以外の選択肢(5時間や7時間等)を増やすことも可能です。
もともと所定労働時間が6時間以下である従業員は利用できません。
従業員より「育児短時間勤務申出書(参考:厚生労働省 社内様式例 社内様式11)」の提出を受けたら、「育児短時間勤務取扱通知書」を交付します。申出する期日や制度の利用を予定する期間の単位は法令で定められていないため、会社で定めをすることができます。
又、短縮される時間に対する給与・賞与の取り扱いを定めておく必要があります。短縮される時間分の基本給を控除したり、諸手当についても手当の性質に応じて短縮された時間分控除することも可能です。
所定外労働時間の制限(残業の免除)
3歳に満たない子どもを養育する従業員が会社に申し出たときは、会社は事業の正常な運営に支障がある場合を除き所定労働時間を超えて働かせることはできません。所定労働時間とは雇用契約書や就業規則で定められた時間です。所定労働時間が法定労働時間より短い場合でも、所定労働時間を超えて働かせることはできません。
所定労働時間の制限の制度を利用する場合は、制限開始予定日の1か月前までに請求することが法令で定められています。請求する期間の単位については、1か月以上1年以内の期間と定められています。請求に回数の制限はないため、1年を超える期間において所定労働時間の制限を希望する場合は、期間を区切って複数請求することは可能です。
管理職の方に関しては、労働時間に関する適用が対象外となっているため、所定労働時間の制限の制度は請求できません。
従業員からの請求は、「育児のための所定労働時間制限請求書(参考:厚生労働省 社内様式例 社内様式8)」の提出を受けましょう。
時間外労働の制限
小学校入学前の子どもを養育する従業員が請求した時は、会社は正常な運営の支障がある場合を除き、1か月24時間、1年間150時間を超えて時間外労働をさせることはできません。ここでいう時間外労働は「法定労働時間」を超える労働です。
所定労働時間の制限と同じく、所定労働時間の制限の制度を利用する場合は、制限開始予定日の1か月前までに請求することが法令で定められています。請求する期間の単位についても同じく、1か月以上1年以内の期間と定められており、請求に回数の制限はないため1年を超える期間において時間外労働の制限を希望する場合は、期間を区切って複数請求することが可能です。
従業員からの請求は、「育児のための労働時間外労働制限請求書(参考:厚生労働省 社内様式例 社内様式9)」の提出を受けましょう。
深夜業の制限
小学校入学前の子どもを養育する従業員が請求した時は、会社は正常な運営の支障がある場合を除き、深夜(22時から翌日5時)に労働をさせることはできません。
深夜業の制限の制度を利用する場合は、制限開始予定日の1か月前までに請求することが法令で定められています。請求する期間の単位については、1か月以上6か月以内の期間と定められています。請求に回数の制限はないため、6か月を超える期間において深夜業の制限を希望する場合は、期間を区切って複数請求を行います。
従業員からの請求は、「育児のための深夜業制限請求書(参考:厚生労働省 社内様式例 社内様式10)」の提出を受けましょう。
今後の改正
先日2023年5月16日に、厚生労働省が、現在の制度(子が3歳になるまで原則1日6時間の短時間勤務制度を企業の義務とする)加え、短時間勤務が難しい場合にテレワーク可能とする制度を努力義務とすることを検討していることがニュースになりました。また残業の免除も、現行の3歳までから小学校就学前までに延ばす方向で育児・介護休業法及び関連省令の改正を目指すとのことです。
yahooニュースより:厚労省「子育て3歳までテレワーク」努力義務化へ 男性の在宅勤務“少”や“在宅は保育園NG”など山積する課題解決が必要