遅刻と所定労働時間

title 労務
カナヘビの「ルールー」長女が命名。

娘が大切に飼っているカナヘビ。虫が苦手な娘が(私もですが…)、カナヘビのためにお友達と一緒にバッタを捕まえてきました。「慣れ」とはすごいもので、私も今では素手でバッタを捕まえられるようになりました。

「慣れ」ると、遅刻も気にならなくなるのでしょうか。
先週相談を受けたお話ですが、度々遅刻をする社員さんがいて、注意しても「遅刻した時間分は残って仕事します」と言うのだそうです。タイムカードを確認すると確かに所定労働時間1日8時間分は仕事しているとのこと。
事故による渋滞や電車の大幅な遅延等、やむを得ない事情がある場合は別として頻繁な10~20分の遅刻。どう対処すればよいのでしょうか。

遅刻慣れする社員への対応

労働契約書や就業規則で始業・終業の時間の定めをしている場合、やはり私はその時間を守ってもらうべきだと考えます。遅刻を繰り返す社員には注意指導が必要です。始業時間を守らない等契約に反する行為を繰り返すと、周囲の社員にも悪影響を与えてしまいます。

就業規則で減給の制裁を定めている会社もあります。労働基準法の第91条で「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と定められています。
減給制裁の場合、少なくとも1日の平均賃金の半額以下の金額を定める事ができますので、遅刻1回で1日半額(例えば月給30万円の場合、平均賃金の1日分は1万円。その半額で5,000円)の減給までは可能ともいえますが、数分の遅刻で1日分の半分控除は厳しすぎると思いますので、会社と従業員が納得できる範囲で遅刻時間や回数等により金額を調整するのが良いでしょう。

ノーワーク・ノーペイの原則

法律上は労働者が働いていなければ(遅刻して働けなかった)賃金を支払う義務はありませんが、電車通勤の場合の自然災害等や車両トラブルによる遅延の場合、遅延証明書の提出を受ければ欠勤控除しない対応をしている(就業規則に定めている)会社も多いと思います。
こちらは会社のルールで定められますので、この辺りもあいまいにせずきちんと定めておきましょう。
就業規則は会社と従業員のための約束事。形式的なものではなく、その会社ごとの実情に合った規則を定めることが会社にとってもそこで働く従業員にとっても重要です。